埼玉県さいたま市にある法律事務所
あすなろ法律事務所
         ASUNARO LAW OFFICE
      弁護士 新穂 正俊
法律トラブルの頼れるパートナー

自賠責保険の高次脳機能障害の認定システムが充実されました
平成23年4月より、自賠責保険の高次脳機能障害の認定システムが充実されました。
国土交通省の平成23年3月4日のプレスリリースで高次脳機能障害の認定システムが充実されたことが報道されました。その充実の内容は、軽症頭部外傷後の高次脳機能障害について認定の可能性があることを明記されました。概要は次の通りです。

基本的考え方
 WHO の報告(MTBIに関する2004年以前の医学論文の系統的レビューを踏まえた診断基準や考察)を参考にするとともに、それ以外にも内外の各種文献、外部専門家の意見陳述や委員による軽症頭部外傷患者の臨床例等も踏まえると、①MTBIの受傷直後に把握される障害は、大多数の患者で3か月から1年以内に回復する、
一部の患者で症状が遷延することがあるが、心理社会的因子の影響によるという考え方が有力、とされていること等から、軽症頭部外傷後に1年以上回復せずに遷延する症状については、それがWH0 の診断基準を満たすMTBI とされる場合であっても、それのみで高次脳機能障害であると評価することは適切ではない
 ただし、軽症頭部外傷後の脳の器質性損傷の可能性を完全に否定できないという医学論文も存在することから、このような事案における高次脳機能障害の判断は、症状の経過、検査所見等も併せ慎重に検討されるべきである
(国土交通省の前記プレスリリースから)
 現行システムの修正等
2.現行認定システムの修正等
(1)審査の対象とする条件の明確化
高次脳機能障害事案として審査の対象を選定するための現行の5条件については、意識障害や画像所見など一部の条件に達しない被害者は、現場の医師に高次脳機能障害ではないと形式的に判断されているおそれがあるのではないかとの指摘があったことから、軽症頭部外傷の被害者が審査対象から漏れることのないよう記載方法を修正する。
(2)調査手法の改善
脳外傷による高次脳機能障害を的確に後遺障害等級認定するためには、意識障害の程度・期間を適切に把握することが重要であることから、照会様式の一部改正を行う。
(3)症状固定時期の考え方
被害者が学齢期前の小児の場合、その成長・発達に伴い、社会的適応に問題があることが明らかになることで、被害者に有利な等級認定が可能となる場合もあることから、そのような要素があると考えられる事案については、社会的適応障害の判断が可能となる時期まで後遺障害等級認定を待つという考え方もあることを周知することが望ましい。
(国土交通省の前記プレスリリースから)

上記のプレスリリースから言えること
 国土交通省のプレスリリースから言えることは、自賠責の高次脳機能障害の認定に関しては、これまで5条件に合わないとして、まず認定がされていなかった軽症頭部外傷(いわゆる軽度外傷性脳損傷)後の高次脳機能障害について、高次脳機能障害として認定される余地があることが明確になったことです。ただ、その認定の修正の内容からすると認定されるためには、かなり慎重な判断を要求しているといえますし、現実に認定を受けるには、高いハードルが設定されているように感じます。

軽症頭部外傷(軽度外傷性脳損傷)後の後遺障害を認めた判例 

東京高等裁判所平成22年9月9日判決 平成22年(ネ)第1818号(自保ジャーナル1832号1頁)
大阪高等裁判所平成21年3月26日判決平成19年(ネ)第3245号、平成19年(ネ)第3470号